マーケティング
岡田 宗悦
慶應義塾大学商学部卒。在学中に株式会社overflowにインターンとして入社。新規メディア事業の立ち上げ、事業開発を経験。その後、金融メディア「Fincy」の事業責任者としてマネタイズからグロースまで担う。2020年4月、新卒1人目の社員として株式会社overflowに入社。「Offers」における広告運用の戦略設計、マーケティング業務に従事。社内では「そーえつ」と呼ばれている。
ハイスキルのエンジニア・デザイナーが登録する「Offers」は、スタートアップ企業を中心に導入数が増え続けている。その急成長の一翼を担っているのはマーケティングチームだ。SEOや広告運用、LPO、CROなど、ユーザーとのタッチポイントを増やし、プロダクトの魅力を訴求し続けるチームはどのような体制なのか。現在の取り組みと今後の展望を、主にtoCに向けたマーケティング施策をリードする岡田にインタビューした。
広告運用やSEO、CROなど、少人数で横断的なWEB施策を実行
ーー:まずは現在の岡田さんの業務内容から教えてください。
主に「Offers」のユーザー(toC)獲得に向けた広告運用やSEO施策(外部施策、内部施策、コンテンツ施策)、CRO(コンバージョン率最適化)施策、さらにインターンの採用やマネジメントなどを担当しています。
チームのミッションが「Offers」のユーザー獲得(toC)がメインですので、いわゆるデジタルマーケティング全般をインハウスで全部行っているイメージです。toBについては、MQL創出(リード獲得)をメインに施策を走らせています。
ーー:今はtoCメインとのことですが、それでもかなり業務の幅が広そうですね。
そうかもしれませんね(笑)
とはいえ広告運用では、各媒体(Facebook、Twitter、Googleなど)の全体設計は私が担当していますが、運用面では私はディレクションに徹し、実務はインターンに担ってもらっています。
SEOにおいても、KW設計やUX、クローラビリティを意識した内部設計、被リンク獲得などの外部施策なども行っていますが、こちらもインターンや他の複業メンバーの手を借りながら推進しています。
ーー:岡田さんが横断的に見つつ、実務面はメンバー間で補っているのですね。マーケティングチームの体制はどうなっているのでしょうか?
CPO田中のもと、マーケティングチームの社員は私を含めた2名です。あとはインターンやマーケティング経験豊富な複業メンバーらで構成されています。
小規模なチームですので、個々の特性にあわせて業務アサインしつつ、私が持っていない知見については複業メンバーから学びつつキャッチアップしています。
打席に立つ回数は、誰にも負けない
ーー:幅広い業務を担当されている印象ですが、これまでの経歴を教えてください。
2020年にoverflowに新卒入社しました。セールスの深見の一つ下の世代ですね。
ーー:1年目とは思えない業務領域ですね!
私の場合、学生時代の2018年からインターンとして働いてきましたので、その期間を含めると、overflowの中でも比較的社歴は長いほうだと思います(笑)overflowではメディア事業も運営していますので、インターン当時は「Fincy」という金融メディアのグロースやマネタイズを行っていました。
ちなみに、当時の具体的な業務内容については、CPO田中のnoteに詳しく書いていただいています。
ーー:新卒でなぜoverflowに?
将来のキャリアを考えたときに、ここで経験を積むことが最適だと思ったんです。自分の「なりたい像」というか、そこに最短で目指せるルートが、overflowにあると思って入社しました。
ーー:「なりたい像」とは?
大学では経営学を専攻してて、ずっと自分の中に起業して自分でビジネスを作りたいって想いがあったんです。overflowはインターンの時から経営陣と蜜に関わる環境だったり、「打席に立つ回数」がとても多かったので、入社を決めました。
それにFincy(金融)や「Offers」(人材)といった事業ドメインの知識も自分のバックグラウンドになかったですし、立ち上げ初期のメディアやプロダクトの中枢に携われることも魅力でした。
実は就職活動もしていて、某Fintech企業などから内定をいただいていたのですが、「なりたい像」の最短距離を考えたとき、overflowが一番のルートだと思いました。
ーー:インターン時にコンテンツマーケティングの基礎も習得していますしね。
そうですね。インターン時はコンテンツSEOや記事編集のノウハウや、仕組みづくりなど多く学ぶことができました。複数の自社メディアを運用していることもoverflowならではの魅力だと思います。
PMF前だからこそ、攻め続ける姿勢が尊重される
ーー:「打席に立てる回数」はまさにアーリーステージのスタートアップならではですよね。これまでの打席を振り返って、「成功したこと・うまくいったこと」はありますか?
「Offers」のユーザー獲得施策では、「Offers Magazine」の記事読了後のCTA最適化によってCTRが1.6倍に増えたり、LPOではファーストビューの突破率を倍増させて、CVRを2倍に伸ばすなどさまざまな事例を生み出すことができました。
あと、インターン時代にFincy(金融)でしこたまやって極めたCTA設計やUSP設定などの訴求改善を、「Offers」(人材)に水平展開して、仮説検証を確度高く再現性持って進められたこともポジティブな結果です。
ーー:CTA最適化に取り組んだきっかけをもう少し詳しく教えてください。
1年程前までは、「Offers Magazine」の記事内にCTAを設置しておらず、ここ経由のCV(会員登録)はゼロでした。一方で「Offers Magazine」には読み応えのある記事がたくさん出てきて読者も増え続けていて、何かできないかと考えたんです。
そこで CVに近いキーワードやカテゴリに対して、訴求軸を個別に変更してCTAの最適化を図ってみたんです。このときは、 Fincyのアフィリエイトで出し分けで使ってた仕組みをそのまま「Offers」でも活用できたので、スムーズに施策を走らせることができました。
ーー:使用ツールはGoogle Optimizeですか?
いえ、出し分けは以下のスプレッドシートをDBとして、変更内容が自動反映される仕組みを採用しました。Google OptimizeはABテストや多変量テストで実行しています。
ーー:LPOではいかがですか?
LPの運用担当も私が「Offers」を担当するまで明確にいなかったんです。それまではCVRなどの各指標をKPIとして追っていたのですが、なかでも中間指標のファーストビュー突破率、3秒以内離脱率に課題がありました。
そこでまずはCVRに貢献しない導線を排除するなど、LPの構成を大幅に変更した後に、CV地点の近いところから改善をしていきました。特に、CVRを上げるためにフォームの露出強化を行っていきました。
ーー:現在は「Offers」メインだと思いますが、インターン時から関わっていた「Fincy」では何か取り組んでいることはありますか?
「Fincy」のインスタアカウントを開設し、そこからマネタイズのきっかけを生み出せたことでしょうか。インスタは好奇心で始めたのですが、SEOより変数が少ないと思うので、フォロワー数なども伸ばせていけるのではと思ったんです。
ーー:現時点(2020年12月)では10万フォロワーですね!
そうですね、4月から開始して、4ヶ月で7.5万フォロワーまで伸ばせることができました。営業資料も自分で作って、広告の商品化も進めています。
ーー:そもそもインスタ開設は誰かの指示で?
いえ、完全に自分の独断です(笑)
「どんどんやってみよう」というスタンスで臨んでいますので、よほどのリスクがなければ個々の裁量に委ねられています。インスタについては、CPOの田中も驚いていました(笑)
ーー:打席の数はかなり多そうですね、逆に失敗したことなどはありますか?
インターンの時に、はじめて「Offers」のSNS広告のの運用を担当させてもらった時のことですが、当時100万円以上の広告予算を預かって、toB向けに配信をしました。広告経由で何件かお問い合わせを獲得できたのですが、商談転換率(SQL転換率)や受注率がとても低かったんです……。
当時「Offers」はリリースしたばかりでブランドの認知も全くなく、ターゲティングやクリエイティブなどを含めた全体設計がいろいろ甘かったと反省しています。
そもそも「Offers」というプロダクトやSaaSビジネスへの理解、複業領域の知見、採用企業の悩み、エンジニアやデザイナーの心情などの理解度も足りなかったのが原因だと思っていますし、さらにマーケターとしてのスキル・経験の少なさも自分にあったと思います。
ーー:失敗からさまざまな学びを得られたようですね。それらを克服するために、どんなことを?
CEOの鈴木やCPOの田中は過去に数々のサービスやプロダクトのグロース経験があるので、直接質問しながら教わっています。同時に、WEB業界で有名なマーケターの発言を、SNSやニュース記事などから抽出して、自分はいま何をすべきか学習してきました。
フルリモートならではの体制を強固にしていきたい
ーー:話は現在に戻りますが、小規模な体制で広告配信やサイト改善など、幅広い業務を担当されています。集計作業やレポート業務だけでも時間がかかりそうですが……?
overflowでは「同じ作業をしない」という考え方が根付いていて、「単純作業の時間」は徹底的に自動化するカルチャーがあります。
広告配信やサイト流入数、CV数などの数値管理は自動化し、手作業の集計も徹底的に排除するようにしています。このあたりはマーケティング界隈なら一般的だと思いますが、主要KPIはSlackにも自動通知しています。
KPIダッシュボードはスプレッドシートで運用をしていますが、経営陣とのコミュニケーションもスプレッドシート上で行っています。ダッシュボードを見ながら、広告予算のアロケーションやチャンネル選定も行っています。
経営陣への報告のための資料作成などの時間も存在しませんし、社員なら誰でも進捗が確認できる透明性も維持しています。
ーー:広告のクリエイティブ管理もダッシュボードで?
そうです。広告管理画面をダッシュボードと連携し、スプレッドシート上でモニタリング・管理しています。これによって、入社1ヵ月のインターンでもクリエイティブ刷新のタイミングや、CPA削減に向けたアクションが取れるようにも仕組み化しています。
ーー:そういえば冒頭で、岡田さんはインターンの採用も兼任しているとか?
はい、基本的に「マニュアル通りできること=オペレーション化できるもの」については、インターンだけでなく、スポットで稼働いただける業務委託やアルバイトの方々を採用するようにしています。
そのためにもマーケティングに携わる全メンバーの工数を以下のように可視化し、リソースが足りていなければ採用に動くようにしています。
実はこの表は今年の夏頃に作成したのですが、当時は自分たちのリソース管理というか、自分の手が足りていないところを可視化する必要があると感じたんです。
オペレーション業務を自分たちで抱えすぎてしまうといった課題感が結構あって、それが事業成長につながっていないなという危機感もありました。
この可視化によって、オペレーションができるところは仕組み化して、業務委託やアルバイトに切り出して、リソース管理を効率的に進められるようになりました。
ーー:インターンも増えていくと思いますが、コミュニケーションで気をつけていることはありますか?
みんなフルリモートで働いているので、マーケティングチーム内のコミニュケーションや、インターンへ実務のフィードバックを効率化するために「Dicord」というボイスチャットを導入しています。
特にインターンは、オフィスにいたらちょっとした質問とかって気軽にできると思うんですけど、フルリモートでやってるとなかなか声かけるのが難しかったりとかすると思います。
それでテキストに起こすまでじゃないんだけど、ラフなコミュニケーションとかはDiscordで運用するようにしています。Slackとかテキストだけは伝わらない部分とか、ビデオチャットに繋ぐまででもない場合などは、ボイスの方が便利ですね。
デジタル以外の領域も検討中!PMMとして「Offers」のグロースにコミットしたい
ーー:今のマーケティング体制の課題や、今後岡田さんがチャレンジしたいことはありますか?
課題は正直たくさんあります。
これまではコンテンツマーケメインで行なってきましたが、中長期で効いてくるSEO施策(案件ページなど)を早く仕込みきって、トップラインをあげるために広告もガンガン踏んでいけるような体制を作りたいと思っています。
とはいえ、広告運用ではCPAとかチャネリングの比率調整など直感的に判断していたり、ある一定の閾値で決めて実行してるものがあるんですけど、それをソフトウェアで正しく分析・判断したり、事前に予知して対応ができる仕組みができたらいいな強く感じています。
さらに今後はタクシー広告や各種イベント、マス向け広告など、デジタル以外の領域にも積極的にチャレンジしていくことも検討しています。
ーー:そのため、それを一緒に実現してくれる経験者のジョインはマストですね!
そうですね、経験が豊富な方であれば、戦略の企画や実行、体制づくりなどもどんどんお願いしていければと思います。特に「Offers」というPMF前のプロダクトをグロースさせていく面白さは、今でしか味わえない醍醐味があると思います。
ーー:これまでのお話は、ユーザー獲得系の取り組みがメインでしたが、プロダクト開発と連携した取り組みはされているのでしょうか?
それはこれからです。「Offers」の導入事例記事やコミュニティ企画はCS発の施策だったりするので、今後は他チームとの連携をどんどん進めて、「Offers」というプロダクトをどうやってグロースするかを積極的に考えていきたいと思っています。
あとはtoB向けの施策は全く力を発揮できてないので、獲得だけでなく、リードを獲得後のナーチャリング施策などもセールスと連携して展開していきたいと思います。
ーー:これまでの領域をさらに広げていこうと?
そうですね、意識しているのはPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)としての動きです。将来的に自分で何らかのプロダクト作っていきたい想いもあるので、PMMとして、「Offers」のPMFを実現していきたいと思います。